作品情報
- 作品名:『白鳥とコウモリ』
- 著者:東野圭吾

あらすじ
2017年、東京・竹芝で弁護士の白石健介が殺害される事件が発生します。
捜査の末に浮かび上がったのは、一人の男・倉木達郎。彼は驚くほど淡々と罪を認め、事件は“解決した”かのように見えました。
しかし、その自白にはどこか不自然な点が残っていました。
倉木の息子・和真と、被害者である白石の娘・美織は、それぞれ父親の言葉に違和感を抱きます。
やがて二人は、倉木が語った「1984年に愛知で起きた別の殺人事件」へと辿り着き、33年前の過去と現在が静かに繋がっていきます。
被害者家族と加害者家族。
“正しい側”と“許されない側”。
簡単には割り切れない感情の中で、少しずつ明らかになっていく真実がとても切なく、深く心に残る物語です。
感想|「人は一面だけでは語れない」と感じさせられる作品
『白鳥とコウモリ』は、ただ犯人を追うミステリーではありません。
読み進めるほどに、
「本当に悪い人とは誰なのか」
「正義とは何なのか」
そんな問いを静かに突きつけられる作品でした。
被害者にも加害者にも、それぞれ人生や家族があって、誰かの視点では“白鳥”のように見える人が、別の誰かには“コウモリ”のように映る。
その複雑さがとてもリアルで、胸が締めつけられます。
特に、家族を想う気持ちが丁寧に描かれているので、ミステリーなのにどこか人間ドラマを読んでいるような感覚になるのも印象的でした。
こんな人におすすめ
- 重厚感のあるミステリーを読みたい人
- 犯人探しだけでは終わらない作品が好きな人
- 家族や人間関係を深く描いた物語を読みたい人
- 読後にじっくり余韻を味わいたい人
まとめ
『白鳥とコウモリ』は、“真実”が明らかになるほど苦しくなる物語でした。
けれどその苦しさの中には、人を簡単に善悪で分けられない優しさや切なさがあります。
読み終えたあと、きっと誰かの「見えていなかった一面」について考えたくなる一冊です。

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